不妊症の考え
不妊症とは
治療と内容
成 績
当院の特徴
治 療 費
不育症・習慣性流産
風 疹
当院の不妊症に対する考え
2003年(平成15年)に開業して以来、最大の喜びは、お生まれになられたお子さんを連れてクリニックに訪れて来てくれることです。すでに二人目のお子さんも一般不妊療法、体外受精、顕微授精でお生まれになられた方もおります。
2007年(平成19年)の体外受精、顕微授精を当院で行った方の平均年齢は、37.1歳でした。
出産最高年齢は、45歳です。
これからも一人でも多くの方と誕生の喜びを分かちあえたらと強く思う次第です。
不妊治療に特別なやり方が存在している訳ではありません。たとえば体外受精などにおける採卵までの方法の中で、従来からのGnRHアゴニスト使用によるロング法の妊娠率が一番高いことはEBMに基づいた事実であり世界標準でもあります。最新の情報を収集し提供する一方で、基本からはずれる事無く、真摯に取り組みたいと考えております。
基本はステップアップ方式です。
当院では、不妊の原因検索をしながらまずは、タイミング療法から開始します。タイミング療法にても妊娠されなかった方や人工授精、体外受精、顕微授精などに適応がある方には初めから人工授精、体外受精、顕微授精などを提供することとなります。
体外受精、顕微授精をお考えになられた段階では、お二人で来ていただいて、外来診察が始まる前にゆっくりと時間をかけて具体的内容やリスクなどのお話をしております。イメージだけで考えるのでなく正しい知識をお持ちになることが大切だと考えております。
体外受精、顕微授精などの方法を最後まで残しておく事も考え方のひとつですが、体外受精、顕微授精なども年齢が若い時にされたほうが当然、成功する確率が高いことも事実です。もちろん適応がない場合に、すすめることはありません。
体外受精、顕微授精は、究極の検査と考えることができます。どのような受精卵であるのか、どのように分割していくのかを見ることができるからです。
妊娠が成功するかどうかは、この受精卵の質にかかわっています。若い時ほど、質の高い受精卵を得る可能性が高いのです。しかし、若くてもなかなか質の高い受精卵を得られない方、逆に高齢でも質の高い受精卵が得られる方と個人差があります。自分の受精卵がどの段階のクオリティであるのかを目で見ることができるのですから、究極の検査と考えられるのです。


治療を継続しても、もちろん妊娠に至らないケースもあります。どこで治療を中止するかの判断をどうくだすのかも大変悩ましい事でした。
ミスを少なくするためには、マニュアル化が必要になってきますが、これをあまりに推し進めるとそこに機械的なベルトコンベア的な治療になってしまう恐れがあると思っております。できるだけお話をしながら、高い技術の提供、システム管理の徹底をはかり希望にそうように方針をたてていきたいと思っております。
当クリニックでは、出来る限り保険診療できますように努力いたしますが、保険適応がない検査・治療もございますので、ご了承お願いいたします。
体外受精、顕微授精などは、すべて自費となります。
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不妊症(sterility)とは
一定の期間(約2年間)を経ても妊娠しない場合を不妊症といいます。
妊娠は成立するが、流産や死産により、胎児の体外生活が可能な時期まで妊娠を維持できない場合を不育症
(infertility)といい、広義の不妊症に含まれます。
一定の期間とは、避妊期間を除いて2年以上とするのが一般的で、これは、児を有している夫婦の90%以上は2年以内に妊娠しているという事実によります。 およそ10組の夫婦のうち1組が不妊症といわれています。そのうち、女性に原因がある場合は1/3ほどあり、卵巣の働きが弱かったり、卵管の通過性が悪かったり、子宮に問題がある場合などがあります。また、精子の数が少なかったり運動性が弱かったり、男性に原因がある場合も1/3ほどあります。残りの1/3は夫婦の両方に原因がある場合や、いろいろ検査しても原因がわからない場合です。
不妊症の原因を調べるには、次のような検査が必要です。
| ●ホルモンが適度に分泌されているかどうか | |
| ●卵管の通過性がよいかどうか | |
| ●子宮に異常がないかどうか | |
| ●排卵があるかどうか | |
| ●精液が正常かどうか |

子宮卵管造影写真
痛みを伴う検査と思われてますが、卵管の通過性に問題のない方はほとんど痛みはありません。

自然の妊娠率はどのくらい?
避妊をしていないカップルでは、結婚後6か月を経過すると約60%、1年で約80%、2年で約90%が妊娠するといわれています。この数値を累積妊娠率といいます。これらの数値をもとに、1回の性周期(月経周期)あたりの妊娠率を、100組のカップルについて計算してみましょう。結婚後6ヶ月目には、60組のカップルが妊娠していることになります。妊娠のチャンス(排卵日)は100(組)×6(か月)=600回程度ありますが、毎月10組ずつのカップルが妊娠するものと仮定すると、そのチャンスは約450回となるので、妊娠率は60÷450=0.13(約13%)となります。結婚後1年目には80÷740=0.11(約11%)となり、自然の妊娠率が決して高くないことが理解できます。
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不妊治療基本方針と内容 〜ステップアップ方式〜
ステップ1 〔タイミング療法〕
ご夫婦ともに大きな異常がない場合は、タイミング療法から始めます。
超音波検査による卵胞計測と尿中LH測定から排卵日をきちんと特定し、夫婦生活のタイミングをとっていただきます。
排卵誘発剤を使用することもあります。(5〜6周期)
ステップ2 〔人工授精〕
タイミング療法を行っていても妊娠されなかった方は、人工授精(AIH)へステップアップします。タイミング療法と同様に排卵日を特定し、精液中から運動良好精子を選別濃縮し、子宮内に注入する方法です。精液検査で乏精子症や精子無力症と診断された場合は、最初からこの人工授精から始めることもあります。

●人工授精
精液に含まれる受精阻害物質を除去し、さらに運動良好精子を選別・濃縮した後、その精子を排卵直前の女性の子宮腔内に直接注入します。精液検査で精子数が少ない(乏精子症)精子運動率が低い(精子無力症)と診断された場合に適応となります。排卵誘発剤の併用が妊娠率を高めます。
ステップ3 〔体外受精・顕微授精〕
人工授精を5〜6周期行っても妊娠されなかった方、人工授精を5〜6周期行っても妊娠されなかった方、子宮卵管造影検査で両側卵管閉塞と診断された方、高度男性不妊の方は、体外受精(IVF-ET)の適応となります。 また、体外受精を行っても受精しなかった方(受精障害)や精液中に運動精子がほとんど認められない方の場合には顕微授精(ICSI)が適応となります。 このようにステップアップ方式での治療が基本となりますが、不妊検査の結果、女性の年齢によってはステップ2やステップ3から始めることも必要になります。
●体外授精
超音波で観察しながら、経膣的に卵胞に針を通して卵胞液を吸引し、その液に卵がないか探します。採卵した卵子に、採取した精液は、洗浄・濃縮して運動良好な成熟精子を集め、一定の濃度に調整した後に、卵子を入れた培養液に入れて受精させます。これを「媒精」といいます。必ずしもすべての卵子が受精するわけではなく、一般的に受精率は7〜9割程度です。
胚の分割速度が異なる場合もありますが、およそ次のような経過をたどります。
| D1 | 受精確認(16〜18時間経過後) |
| D2 | 分割確認(42〜48時間経過後)・初期胚移植 |
| D3 | 分割確認(65〜70時間経過後)・初期胚移植 |
| D4 | 分割確認・桑実胚移植 |
| D5 | 分割確認・胚盤胞移植 |

●顕微授精
顕微授精法の治療スケジュールは、通常の体外受精・胚移植法と全く変わりがありません。ただ「媒精」の方法が異なるだけです。それは1匹の精子を直接卵子の中に注入する卵細胞質内精子注入法(ICSI)という方法です。非常に細いガラス針で精子を吸引し、卵子にダメージを与えないように注入します。体外受精を行っても受精卵ができなかった方や、精液中に運動精子がほとんど認められない重症男性不妊の方が適応となります。
1.精子を吸引します。

2.精子を吸引したピペット(右側の細いもの)を近づけて

3.卵に穿刺し精子を注入します。

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成 績
平成19年度の体外受精、顕微授精、凍結胚移植の成績です。
治療された平均年齢は、37.1才でした。
妊娠された方の平均年齢は、35.6才でした。
最高出産年齢は、45才でした。
当院の体外受精、顕微授精妊娠による多胎妊娠は、開院以来、一例のみです。
このケースは、1個の受精卵を移植したのでしたが、一卵性双胎でした。



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当院の不妊治療の特徴
■選択的1個胚移植:多胎の防止
■胚盤胞移植
■卵巣過剰刺激症候群の重症化防止
■移植周期の選択
■高齢・低反応女性治療の工夫
選択的1個胚移植 e-SET:elective single embryo transfer
1個の受精卵を子宮内に戻すことにより多胎を防止します。
原則、最多でも2個(選択的2個胚移植 e-DET:elective double embryo transfer)までしか戻しません。
初期胚にせよ胚盤胞にせよ最良胚を1個選別し、余剰胚は凍結保存します。
この方法にて、妊娠率の低下なく多胎妊娠発生予防ができています。
当院の体外受精、顕微授精妊娠による多胎妊娠は、開院以来、一例のみです。
このケースは、1個の受精卵を移植したのでしたが、なんと一卵性双胎でした。
●胚盤胞移植
多くの施設で行われていた体外受精、顕微授精による胚移植は、体外で受精させた受精卵を2〜3日培養した後、子宮に戻す方法でした。
しかし培養液の進歩にて受精後、5〜6日目に胚盤胞まで発育した受精卵を移植することができるようになりました。胚盤胞の子宮への着床率は高いため、移植胚数は多くを必要としません。
当院の胚移植は、胚盤胞の「1個移植」が基本方針です。
ただし胚移植あたりの妊娠率は高いのですが、継続培養にて分割が停止し胚盤胞が得られず移植できない可能性もあります。この移植ができなかった症例を含めた採卵周期あたりの妊娠率は、初期胚移植と有意差を認めていないという報告もあります。
胚盤胞移植にて妊娠に至らなかったのに初期胚移植にてすぐに妊娠した報告例もあり、早期に子宮内に戻した方が好ましい場合もあります。
初期胚の質が不良であっても、継続培養によって良好胚盤胞に到達する例もあり、いろいろなケースを想定して対処しております。
OHSS:卵巣過剰刺激症候群の重症化を防ぐ
OHSS は、不妊治療に用いられる排卵誘発剤投与で多数の卵胞が発育し血管透過性が亢進する結果、卵巣腫大、腹水貯留、血液濃縮、乏尿などをきたします。
特に多嚢胞性卵巣症候群の方は、ゴナドトロピン卵巣刺激に過剰に反応する傾向があります。当院では刺激法を工夫しております。
1.クロミフェンを用いた最小刺激法
2.全胚(受精卵)凍結保存し次サイクルで移植へ
3.GnRH アンタゴニスト(セトロタイド)を使用する刺激法
セトロタイドとは、体外受精などのための卵巣刺激下の早発排卵防止薬です。
・卵巣刺激期間の短縮化の可能性
・hMG/FSH 製剤の使用量を少なくすることができる
・OHSS の重症化の頻度を下げる
・内分泌機能の回復が早い
主な副作用は、注射部位反応(掻痒感、発赤、刺激感、腫脹など)
アナフィラキシー様(血圧低下、一時的意識消失、咳および紅斑を主ナウアナフィラキシー様症状)などの報告もあります。
従来のGnRHアゴニスト使用群とこのGnRHアンタゴニスト使用群とでは妊娠率では同程度という報告があります。
当院では、従来のGnRHアゴニスト使用のロング法をメインにしており、アゴニストを使用しても卵の質が悪い場合や卵胞数の多い場合でOHSSの重症化が懸念される時に使用を考えています。
移植周期の選択
凍結卵融解移植の戻す周期は、次の3つから選択することになります。
1. 自然周期
2. 排卵誘発周期
3. 人工子宮内膜周期
排卵を抑えるためのお鼻からの薬(GnRHアゴニスト)の投与とプロゲステロン・エストロゲン分泌が確立される12週頃までホルモン補充をする必要があります。
高齢・低反応女性治療の工夫
低反応の定義の一つは、成熟卵胞数が5個未満、採卵数5個未満あるいは血中女性ホルモン最高値が500pg/ml未満の状態と言われております。
原因を探りながら、卵巣の予備能力の予知をし、その各々に対策を立てております。
以上のように、不妊原因や特性に合わせた個別の方針をたてて全力で取り組んでおります。
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治療費(消費税を含めていない料金です。)
体外受精 200,000円
| 採 卵 | 50,000円 |
| 培 養 | 100,000円 |
| 受精卵移植 | 50,000円 |
顕微授精 250,000円
| 採 卵 | 50,000円 |
| 卵細胞質内精子注入 | 50,000円 |
| 培 養 | 100,000円 |
| 受精卵移植 | 50,000円 |
●胚盤胞移植の場合は、20,000円が加算となります。
●アシステッド・ハッチング希望の場合は、10,000円が加算となります。
●受精卵凍結が必要な場合は、50,000円が加算となります。
●採卵当日、ご主人が不在な場合、精子を前もって凍結保存させておくことが可能です。
精子凍結希望の場合は、10,000円です。
●次の周期にて、凍結受精卵を融解し移植する時は、50,000円です。
体外受精・顕微授精の料金は、基本的には上記の通り(消費税別途)です。
詳細は面談の際に説明します。
体外受精・顕微授精の時の治療費は採卵時に一括して納入していただきます。
治療が途中で中止になった場合は、その時点で精算しお返しします。
術前検査 10,000円前後
感染症(B型肝炎・C型肝炎・梅毒検査・HIV・ATL)
貧血の有無・出血傾向の有無・肝腎機能など
卵胞刺激に要する薬剤 hMG(ゴナドトロピン)
1回の治療でHMGは、225IU〜75IUの量を7日以上使用することが多いです。
このHMGの種類や使用量は卵巣機能の状態(卵胞の状態)により決定されます。
料金は、量と種類により異なります。
■recFSH 遺伝子組み換えFSH製剤(フォリスチム)
不妊治療に使用されているものは従来、尿由来のものでした。そのため、製剤によっては効力にばらつきがみられ、卵胞の発育や投与量、投与期間に影響がある可能性もありました。
このフォリスチムは、高純度のFSH製剤です。
人工授精 10,000円
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不育症・習慣性流産
1回の独立した流産の頻度は、統計上約15〜20%であり、決して珍しくありません。その約60〜70%以上は胎児に染色体異常があると報告されいます。また受精卵の約40%に染色体異常があり、それが出生時には0.6%に減少されており、もし流産という自然淘汰が起こらなければ、出生した児の40%が染色体異常を持つことになります。1回の独立した妊娠の流産の頻度を20%と仮定すると、反復流産率は0.2×0.2=0.04で4%、3回流産率は0.04×0.2=0.008で0.8%となります。したがって、反復流産の場合は病的原因をもたず、不育症とは言えない場合が多いですが、3回以上自然流産を繰り返した習慣流産は自然淘汰という考え方では確率的に説明できないため、不育症の原因を検索することになります。
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風 疹
妊娠と風疹の関係
風疹とは、風疹ウィルスによる感染症のことです。3日程度で治ることから、一般に「三日ばしか」とも呼ばれています。症状としては、発熱とともに全身に淡い発疹が出て、耳の後ろのリンパ節がはれます。発疹の一つ一つは約直径3ミリの不整形の斑丘疹でピンク色または赤味を帯びています。飛まつにより感染し、発疹出現の前後約1週間に感染性があるとされています。
風疹は幼児から小学校低学年の子供が感染しやすいですが、症状が重くなるのは大人です。妊娠期の女性が感染すると胎盤を介して胎児に感染し、生まれてくる子供が白内障や難聴、心臓病にかかる「先天性風疹症候群」になる危険性が高くなります。また“妊娠適齢期”にさしかかっている昭和54〜62年生まれの女性は予防接種の機会を失っています(平成6年の予防接種法改正で、改正前は中学の女子生徒に義務付けられていた予防接種の対象年齢が、1歳から7歳半までに引き下げられたため)。
そのため、妊娠前に風疹抗体価検査をすることが一番です。 抗体をもっていれば風疹に対して免疫をもっているので、胎内感染は起こることはなく安心ですね。
抗体を持っていなければ風疹ワクチンの接種を受けることをお勧めします。 (ワクチン接種は月経直後に施行し、その後は2ヶ月間の避妊が必要)
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